『作り方』と書きましたが、基本的な考え方は、

・購入先から情報を提供してもらう

です。
間違っても『依頼するのがめんどくさいから』とか『どうせ出してくれないから』という理由で自分でデータをでっちあげてはいけません。
何故か?
会社的にいらない責任を負わないためです。
言い方はよろしくありませんが、最終的に材料メーカーにその報告責任を投げる(なすりつける……押し付ける……何て言ってもよろしくないなぁ)ということです。
例えば『なぜ報告するのか?』で挙げた例のように、『非含有で報告した』ものに『規制に引っかかるレベルの含有が検出された』場合、まず最初に『嘘の報告』という問題が発生します。
これは『企業の信頼性』に直結しますよね?
では、『どこが嘘を吐いたのか?』という原因究明をしますと、

1.自分のトコでデータをでっち上げた
2.サプライヤーから収集した

という2パターンが発生します。
1.の場合、『確認もせずにデータを作った』ことになりますので、もう弁護のしようがありません。良いトコありません。
2.の場合、最終的に報告責任という話はあると思いますが、少なくとも『提出されたデータ』になるので、データの提出元に文句が言えます。
単純にこれだけの話です。

……まぁ、材料情報の提供依頼を受ける材料メーカーは心底嫌がるでしょうが。
ただ、『材料メーカーは材料に有害な物質の含有状況を把握しておくべき』だと思います。恐らくほとんどの材料メーカーは実施していると思いますが。じゃないと商売にならないからです。自社web site上に『規制物質含有0』とか『成分情報についてはお問合せください』といった文言を載せている企業も少なくありません。

購入経路上でたくさんの企業を経由している場合、この情報収集が非常に厄介な点になります。
少なくとも自分の会社が痛い思いをしなくて済むように、購買契約の上で含有物質の報告に協力してもらえるよう取り決めを行い、それをサプライチェーン上展開してもらえるように依頼するべきかと思います。
そうすれば、何かあっても『お願いしてるけど守ってもらえていなかった』と言えますから。
『俺言ったじゃん』という言い方は子供の理屈のようですが、やっているのとやっていないのでは雲泥の差があると思います。
ただ、サプライチェーンの末端まで管理する必要は全くありません。直接取引きのある、川上および川下の企業に対してのみ意思表示ができていれば、そこから先は自分の手の届く範囲ではありません。やるもやらぬも取引業者の勝手ということです。

情報収集の方法はいろいろあります。
鉄鋼材メーカーの場合、カタログやweb site上に成分を開示しているところもあります。
金属であればミルシートもあるでしょう。
樹脂・ゴム・接着剤・塗料・表面処理材・グリスといったものも、最低でも問い合わせてみて、情報を出してもらえない場合、非含有証明を受け取った上でデータを作成するようにしましょう。こうすれば、少なくとも『入っていないよ』という言質を取った証明になります。
IMDSやJAMAシートでの報告でなくても、CAS No.と含有率を報告してもらえば手元で作っても『元データは報告による』と言えますよね?
何にしろ、記録を残しておけば後で確認することもできるし、『収集した証拠』にもなります。オススメです。

材料情報が集まれば、後は使用量(質量・数量)だけのようなものです。こちらについては、現物に使われている質量や数量なので何か問題が出るとも思えません(単位が間違っててツッコミを食らうぐらい)

『プレス部品だから材料もわかってるし、質量も量れば良いよね!』っていう場合でも、できればサプライヤーから情報を出してもらえるようにした方が良いと思います。
サプライヤー毎に対応が違うのも管理が面倒ですし、図面に記載されている材料と実際に使われている材料が違うなどといったこともありえますので……恥ずかしながら実際にあったんですよorz

あ、購入した部品を後で加工する場合は、材料で情報をもらっておいて、加工前(購入時)質量を報告してもらうっていう方法もありますね。
自分でやってて管理と運用が楽になるような方法を考えていきましょう。
困ったことがあればご相談ください


※※※2010/02/15:追記※※※
それでも情報を提供してくれない場合もあります。
その場合には、非含有証明主成分の情報公開したくない物質の含有率(合計で可)だけでも提供してもらいましょう。

非含有証明
GADSLって言って良いと思います。記載物質は基本的(微妙に例外有)に規制対象ですので報告義務を負います。GADSLは膨大なリストになりますが、IMDS上でもJAMAシート上でもGADSLに記載された物質は報告が必須となりますので、報告業務上正当な理由と言えると思います。

主成分の情報
鉄鋼材であれば『iron(CAS No.7439-89-6)』とか、『NBR(IMDS上ではBasic Rubber: NBRを使用可能)』であるとかの情報。物質が特定できれば良い。含有率は『残部』。

公開したくない物質の含有率(合計で可)
ワイルドカードで処理するために、非開示とする範囲を設定する必要があります。まさかの主成分100%ということも可能ですが、不自然ですよね?『らしく』するためにもできれば入れたいです。

特に非含有証明は重要です。提出させれば『その書面に基きこちらは報告した』と言えます。
別に『協力してくれないサプライヤーに喧嘩を売ってる』ワケではないのですが、企業としてのリスク回避のためには必要な措置かと思います。


情報収集の行程上、最初は大きい会社から小さい会社へと依頼が伝達されていきますが、ある段階から小さい会社から大きい会社への伝達に変わります。材料メーカーや原料メーカーです。
良くあるんですよね、小さい企業が収集に困るという状況が。
そうなると結局『より大きい川下企業が手を出して話を通す』という行為が必要になったりします。

本当は『この文面を使って情報収集してください。文面は変えちゃダメ。文句が出たらウチに言え!』という文書を依頼元が出してくれたりすると楽なんですけどねぇ。
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