REACHに限らず、世界ではもちろん日本国内にも化学物質規制は存在します(化審法とか化管法とか)
現状、納入先から依頼があった物質の含有状況を確認して、その都度報告を行っているような感じだと思います。
状況によってはREACHの45日ルールのような短納期での依頼もあると思いますが、ソレに対応できるような体制は整えられているでしょうか?
まぁぶっちゃけできてるトコなんてほとんど無いと思いますけどね。
実際私の所属している組織もできていいないですし、私も『やった方が良いんじゃない?』という提案を幾度となくしていますので。
※※※2010/2/3:自重※※※
それはさておき、サプライチェーンの構築については別の話でやるとして、今回はどのように情報を集めるか(内容的に)といった辺りの私の考えを書いていきたいと思います。反論はもちろん、意見等ありましたら掲示板(仮)の方へ書き込んでいただけると情報の交流ができて良いと思います。ぜひご参加ください。
・集計に必要な情報のブレイクダウン
では実際にどのように考えていくかという話ですが、
・指定化学物質の含有量を把握する
というのが最終目的です。
実に雲を掴むような良い目標ですね。なめんな。
では、コレを少し噛み砕いてみましょう。
調査範囲:全製品
調査基準:含有量
調査対象:規制物質
ぅゎぁ。範囲広すぎ。このまま調べようとすると、『製品を調査するのか?』という話になります。ソレではなんというか……無駄です。まぁ目標は果たせるかもしれませんが、後から別の物質を調査する時にまた『製品を調査するのか?』という話になります。
できれば避けたいですよね?
そこで、IMDSやJAMAシートのように、
部品 - 材料 - 物質
という考え方をしてみます。
物質は今後変動する可能性もありますので、とりあえず置いておきます。実際に今の現状では公表されているSVHCと禁止物質になるので、数量は確定していますが、数が増えてくると一気にやろうとしても情報提供する側が困りますので。
部品は材料で構成されるので、材料よりも多くなる可能性があります(というか基本的に部品>材料だと思います)
と、いうわけでまずは材料を基準に考えを進めます。
step1 材料
最初にやることは、材料の総数を把握することです。この際に、IMDS基準の情報を集める(まとめる)と、今後の各種報告に転用できるので、便利かと思います。サプライチェーンの川上に対してこの作業をお願いすると、今後の化学物質調査時にこの材料リストに対してチェックをかければ良くなります。
調査対象の母数がお互いに把握できるということですね。
ついでに、お互いに共通した認識で『材料の個別化』をしておくと良いと思います。いわゆる社内材料コードの付与ですね。コレをしておくことで、『この材料』という指定が確実に行えると思います。
step2 材料 - 物質
次に、その材料のリストに対して、化学物質の含有状況を確認します。
指定物質がどれだけ含有(%)されているかの情報です。まぁ、0の場合もあると思います。
ここで、サプライヤーには『構成成分を全部把握しておいてね』と言っておけば、事実上IMDSやJAMAシートでの報告の際に材料情報が揃っていることになります。
『とりあえず規制物質のみの情報を集める』というスタンスで動けば、そこまで時間がかかることは無いと思います。以前に調査されたこともあると思いますので。
step3 部品 - 材料
最後に、部品に使われている材料の量(グラム)を確認します。
『とりあえず規制物質のみの情報を集める』というスタンスの場合、『規制物質が含まれている材料』を使用している部品に限定して調査を行えば、よりスムーズに情報を収集することができるかと思います。
最終的には全ての部品に対する全ての材料の使用量が把握できれば良いですね。そうしたらIMDSもJAMAシートも以下略。
ここまで調査ができれば、
含有率(%)×材料使用量(グラム)
で含有量(グラム)が計算できるようになりますよね?
何?『部品 - 部品(いわゆるASSY部品)は?』って?
そんなモンは部品の使用数(個)で計算すれば良いだけだからそんなに手間かかんないんじゃない?
計算も
含有率(%)×材料使用量(グラム)×使用数(個)
になるだけだし。
ぁ、コードとかコイルみたいな部品だと、部品単位で長さが確定していない会社もあったりするのかな?
そうすると、個数というか長さが必要になるか。
例えば1メートルのコードを調査して、部品あたりの材料の使用量が
・被覆xグラム
・銅線yグラム
・めっきzグラム
とした場合に、部品あたりの使用量が10センチメートルだと仮定すると、部品あたりの使用量は
・被覆1/10xグラム
・銅線1/10yグラム
・めっき1/10zグラム
とするだけだからそんなに計算は困らないか。
・思考の根本と継続動作
と、いった感じで調査を行うのが良いかなぁ……と。
コレの基本理念としては『情報提供側の手元の情報を整理してもらう』という感じです。こういう依頼をした際に『品番ベースで依頼してください』と返すところも少なくありませんが、調査する根っこは『指定化学物質が含まれる材料』です。材料 - 物質、部品 - 材料という紐付けが整理されていないと、今後の規制に対応する上で、『部品ごとに調べた。他の部品は知らない→材料は調査したけどその材料がどこに使われているかわからない』といった間抜けが発生する可能性があります。
調査を可能な限り漏れなく行うために、まずは社内の情報整備から進めると良いと思います。
購入している全ての材料について情報を網羅しておけば、使う使わないに関わらず含有物質報告に関しては情報が揃っていることになりますので。
無いモノは使えないんです。もちろん『情報』なので、定期的な見直しや更新は必要になります。情報はナマモノです。腐らせないようにしっかり管理しましょう。材料が増えたり減ったり変更されたり、規制化学物質が増えたりしますので。
この情報に、材料ごとにMSDSを紐付けたりすれば、さらに広がる環境規制・化学物質管理ワールド。
・要検討事項
しかし、問題点として収集方法があります。
・IMDSで収集した場合、更新が一苦労です。なんせ全て手動。部品で収集した場合は、さらに手間が増えるというおまけ付き。IMDS AIを導入していれば別ですが……。
・JAMAシートで収集した場合は、最初に『JAMAシートめんどくせー』という問題があります。私はアレ嫌いです(ぉぃ)
次に、管理の問題があります。サプライヤーから報告される形式はcsvですが、その情報をどのように保持するのかという問題です。また、報告時にも『1枚のシートで複数の材料を報告する』のか、『材料ごとに別シートにする』のか選択が必要です。
・IMDSでもJAMAシートでもない方法で収集するという選択肢もあります。この場合、JAMA/JAPIA標準スタイル(推奨)から外れるので、依頼先から難色を示される可能性もあります。
まぁ、どこかで苦労はあるモノですが、サプライヤーと相談して進めてみるというのも手かもしれません。
規制対象化学物質がアホみたいな数になってから、『ダメだこりゃ管理できない。データベース化しよう』なんて言ってたら、ソレこそ大騒動です。
先手を打って、規制物質の数が少ないうちから対策を検討し、体制構築を進めるべきだと思います。
・コレは頭の片隅に置いておきたい
そもそも、REACHの45日ルールに対応しようと思ったら、自分の手元に依頼が来た時点で『何日消耗してしまっているのかわからない』という前提に立つべきだと思います。
EU域内へ直接納入しているか、自動車メーカーと直接取引きしているのであれば、自分の手元では40日前後は工数が確保できていると思います。が、コレがtear2、tear3……と遡るに従ってその伝達だけに時間が消費されます。つまり、最終的にどこからの依頼かわかりませんが、少なくとも依頼が来る→報告が最後まで行き着くという伝達だけで工数が消費されてしまい、実際に確認を行う工数はかなり削れているということです。45日なんて絶対ありえません。故に最上流の情報整理とサプライチェーンの確保が重要視されるわけです。
……中のヒトがどこの人間かわかってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、ソコはヒミツということで、一つよろしく……。
現状、納入先から依頼があった物質の含有状況を確認して、その都度報告を行っているような感じだと思います。
状況によってはREACHの45日ルールのような短納期での依頼もあると思いますが、ソレに対応できるような体制は整えられているでしょうか?
まぁぶっちゃけできてるトコなんてほとんど無いと思いますけどね。
実際私の所属している組織もできていいないですし、私も『やった方が良いんじゃない?』という提案を幾度となくしていますので。
※※※2010/2/3:自重※※※
それはさておき、サプライチェーンの構築については別の話でやるとして、今回はどのように情報を集めるか(内容的に)といった辺りの私の考えを書いていきたいと思います。反論はもちろん、意見等ありましたら掲示板(仮)の方へ書き込んでいただけると情報の交流ができて良いと思います。ぜひご参加ください。
・集計に必要な情報のブレイクダウン
では実際にどのように考えていくかという話ですが、
・指定化学物質の含有量を把握する
というのが最終目的です。
実に雲を掴むような良い目標ですね。なめんな。
では、コレを少し噛み砕いてみましょう。
調査範囲:全製品
調査基準:含有量
調査対象:規制物質
ぅゎぁ。範囲広すぎ。このまま調べようとすると、『製品を調査するのか?』という話になります。ソレではなんというか……無駄です。まぁ目標は果たせるかもしれませんが、後から別の物質を調査する時にまた『製品を調査するのか?』という話になります。
できれば避けたいですよね?
そこで、IMDSやJAMAシートのように、
部品 - 材料 - 物質
という考え方をしてみます。
物質は今後変動する可能性もありますので、とりあえず置いておきます。実際に今の現状では公表されているSVHCと禁止物質になるので、数量は確定していますが、数が増えてくると一気にやろうとしても情報提供する側が困りますので。
部品は材料で構成されるので、材料よりも多くなる可能性があります(というか基本的に部品>材料だと思います)
と、いうわけでまずは材料を基準に考えを進めます。
step1 材料
最初にやることは、材料の総数を把握することです。この際に、IMDS基準の情報を集める(まとめる)と、今後の各種報告に転用できるので、便利かと思います。サプライチェーンの川上に対してこの作業をお願いすると、今後の化学物質調査時にこの材料リストに対してチェックをかければ良くなります。
調査対象の母数がお互いに把握できるということですね。
ついでに、お互いに共通した認識で『材料の個別化』をしておくと良いと思います。いわゆる社内材料コードの付与ですね。コレをしておくことで、『この材料』という指定が確実に行えると思います。
step2 材料 - 物質
次に、その材料のリストに対して、化学物質の含有状況を確認します。
指定物質がどれだけ含有(%)されているかの情報です。まぁ、0の場合もあると思います。
ここで、サプライヤーには『構成成分を全部把握しておいてね』と言っておけば、事実上IMDSやJAMAシートでの報告の際に材料情報が揃っていることになります。
『とりあえず規制物質のみの情報を集める』というスタンスで動けば、そこまで時間がかかることは無いと思います。以前に調査されたこともあると思いますので。
step3 部品 - 材料
最後に、部品に使われている材料の量(グラム)を確認します。
『とりあえず規制物質のみの情報を集める』というスタンスの場合、『規制物質が含まれている材料』を使用している部品に限定して調査を行えば、よりスムーズに情報を収集することができるかと思います。
最終的には全ての部品に対する全ての材料の使用量が把握できれば良いですね。そうしたらIMDSもJAMAシートも以下略。
ここまで調査ができれば、
含有率(%)×材料使用量(グラム)
で含有量(グラム)が計算できるようになりますよね?
何?『部品 - 部品(いわゆるASSY部品)は?』って?
そんなモンは部品の使用数(個)で計算すれば良いだけだからそんなに手間かかんないんじゃない?
計算も
含有率(%)×材料使用量(グラム)×使用数(個)
になるだけだし。
ぁ、コードとかコイルみたいな部品だと、部品単位で長さが確定していない会社もあったりするのかな?
そうすると、個数というか長さが必要になるか。
例えば1メートルのコードを調査して、部品あたりの材料の使用量が
・被覆xグラム
・銅線yグラム
・めっきzグラム
とした場合に、部品あたりの使用量が10センチメートルだと仮定すると、部品あたりの使用量は
・被覆1/10xグラム
・銅線1/10yグラム
・めっき1/10zグラム
とするだけだからそんなに計算は困らないか。
・思考の根本と継続動作
と、いった感じで調査を行うのが良いかなぁ……と。
コレの基本理念としては『情報提供側の手元の情報を整理してもらう』という感じです。こういう依頼をした際に『品番ベースで依頼してください』と返すところも少なくありませんが、調査する根っこは『指定化学物質が含まれる材料』です。材料 - 物質、部品 - 材料という紐付けが整理されていないと、今後の規制に対応する上で、『部品ごとに調べた。他の部品は知らない→材料は調査したけどその材料がどこに使われているかわからない』といった間抜けが発生する可能性があります。
調査を可能な限り漏れなく行うために、まずは社内の情報整備から進めると良いと思います。
購入している全ての材料について情報を網羅しておけば、使う使わないに関わらず含有物質報告に関しては情報が揃っていることになりますので。
無いモノは使えないんです。もちろん『情報』なので、定期的な見直しや更新は必要になります。情報はナマモノです。腐らせないようにしっかり管理しましょう。材料が増えたり減ったり変更されたり、規制化学物質が増えたりしますので。
この情報に、材料ごとにMSDSを紐付けたりすれば、さらに広がる環境規制・化学物質管理ワールド。
・要検討事項
しかし、問題点として収集方法があります。
・IMDSで収集した場合、更新が一苦労です。なんせ全て手動。部品で収集した場合は、さらに手間が増えるというおまけ付き。IMDS AIを導入していれば別ですが……。
・JAMAシートで収集した場合は、最初に『JAMAシートめんどくせー』という問題があります。私はアレ嫌いです(ぉぃ)
次に、管理の問題があります。サプライヤーから報告される形式はcsvですが、その情報をどのように保持するのかという問題です。また、報告時にも『1枚のシートで複数の材料を報告する』のか、『材料ごとに別シートにする』のか選択が必要です。
・IMDSでもJAMAシートでもない方法で収集するという選択肢もあります。この場合、JAMA/JAPIA標準スタイル(推奨)から外れるので、依頼先から難色を示される可能性もあります。
まぁ、どこかで苦労はあるモノですが、サプライヤーと相談して進めてみるというのも手かもしれません。
規制対象化学物質がアホみたいな数になってから、『ダメだこりゃ管理できない。データベース化しよう』なんて言ってたら、ソレこそ大騒動です。
先手を打って、規制物質の数が少ないうちから対策を検討し、体制構築を進めるべきだと思います。
・コレは頭の片隅に置いておきたい
そもそも、REACHの45日ルールに対応しようと思ったら、自分の手元に依頼が来た時点で『何日消耗してしまっているのかわからない』という前提に立つべきだと思います。
EU域内へ直接納入しているか、自動車メーカーと直接取引きしているのであれば、自分の手元では40日前後は工数が確保できていると思います。が、コレがtear2、tear3……と遡るに従ってその伝達だけに時間が消費されます。つまり、最終的にどこからの依頼かわかりませんが、少なくとも依頼が来る→報告が最後まで行き着くという伝達だけで工数が消費されてしまい、実際に確認を行う工数はかなり削れているということです。45日なんて絶対ありえません。故に最上流の情報整理とサプライチェーンの確保が重要視されるわけです。
……中のヒトがどこの人間かわかってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、ソコはヒミツということで、一つよろしく……。
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